小言の背後にある意義
皆さんの日常では妻からの「小言」に悩まされているでしょうか。
たとえば、食事のマナー、洗い物の置き場所、床の掃除の方法といった些細なことから、より大きな問題についての注意喚起まで含みます。
しかし、これらの「小言」は一体何なのでしょうか。
ある本では『妻の小言はセキュリティ問題』だと書かれていました。
『トイレの便座は必ず下げて』という小言があった場合、妻や子供が便座が上がっていることに気づかず腰を下ろしたら、お尻を便器に打ちつけたり、大きな怪我をする可能性がある。
このような日常に潜む危険を観察しているから小言が多くなるという考えです。
妻の小言はセキュリティ問題ではない!
私たちは『妻の小言はセキュリティ問題』という視点に疑問を抱きました。
当てはまる場合もありますが、その視点だけでは『洗濯物の畳み方が違う』などの小言に関しては当てはまらないので、偏った見方であると考えられます。
そこで私たちは、夫と妻それぞれの視点から小言について調査を行いました。
妻の視点から見た小言
既婚者の女性66名にご回答いただきました。
(1)あなたは、夫に「小言」を言いますか?
常に 6
たまに 44
ほとんどない 8
全くない 5
(2)「小言」を言う
主な理由は何ですか?
多くの妻は、夫の行動や態度に対する不満、以前決めたルールが守られていないとき、または家事や育児への協力を求めるために小言を言っていると答えています。
また、ストレス発散のためや、改善を望んでいるためにも小言を言うという回答もありました。
(3)「小言」を言うとき、夫はどう感じていると思いますか?
攻撃されていると感じている 27
理解されていないと感じている 5
ストレスをぶつけられていると感じている 19
相手からの要望を理解しようと感じている 9
妻に迷惑をかけてしまったと感じている 3
(4)夫から「小言」を言われますか?
常に 3
たまに 27
ほとんどない 28
全くない 5
多くの妻は旦那はほとんど小言を言わず、夫にはたまに小言を言うという認識のようです。
(5) 夫が「小言」を言う
主な理由は何だと思いますか?
多くの妻は、夫が小言を言う理由として、妻への不満、ルールやお願い事を守られないとき、またはストレスの発散と考えています。
また、自分のやり方を伝えたい、直してほしいと思っているなどの理由もありました。
(6) 夫の「小言」にどう対応していますか?
改善策を提案する 11
感情を共有する 6
無視をする 23
話を聞いて理解しようとする 20
その他 3
妻の視点のまとめ
・夫への小言の頻度と理由
「たまに」が最も多い結果となり、小言の理由としては夫の行動や態度への不満や、家事育児への協力を求めるためなどが挙げられました。
・夫からの小言
夫からの小言はそれほど頻繁ではなく、その理由としては妻への不満やルールの遵守などが挙げられました。
・小言に対する対応
夫の小言に対する妻の対応は、「無視する」か「理解しようとする」が主でした。
夫の視点から見た小言
既婚者の女性61名にご回答いただきました。
(1)妻に「小言」を言われていますか?
常に 12
たまに 32
ほとんどない 11
全くない 6
(2)「小言」を言われる
主な理由は何だと思いますか?
多くの夫は、自分の行動(たとえば家事をしない、物を出しっぱなしにする、など)や、妻のストレスやイライラが小言の主な理由であると感じているようです。
また、「価値観の違い」や「妻の期待値が高い」と感じる夫もいました。
(3)「小言」を言われたとき、
どのように感じますか?
攻撃されていると感じる 8
理解されていないと感じる 4
ストレスをぶつけられていると感じる 30
相手からの要望を理解しようと感じる 17
その他 2
(4)あなたは妻の「小言」に対して、
どのように対応しますか
改善策を提案する 8
感情を共有する 9
無視をする 18
話を聞いて理解しようとする 23
(5)あなたは、普段、
妻に「小言」を言いますか?
常に 2
たまに 17
ほとんどない 29
全くない 13
(6)あなたが「小言」を言う
主な理由は何ですか
妻の行動や態度に対する不満や、価値観の違い、ストレス発散などが小言の主な理由として挙げられています。
また、「妻に何かを伝えたい」「自分が困っている状況を理解してもらいたい」などの夫の要望も小言の背景にあると感じているようです。
夫の視点のまとめ
・妻からの小言の頻度と理由
「たまに」が最も多く、自身の行動や妻のストレスが小言の理由とされました。
・妻への小言
夫自身も小言を言うことがあり、その理由はストレスや不満、価値観の違いなどが主でした。
・小言に対する対応
夫の小言に対する対応は、「話を聞いて理解しようとする」が主でした。
アンケート結果の分析と解釈
①『妻の小言はセキュリティ問題』という主張に関して
妻側の主張として、安全面、危険性を意識して小言を言うと答えた方はいませんでした。
また、ほとんどの方がストレスの発散をしているという解釈をされていたため、『妻の小言はセキュリティ問題』に関しては
成立しない考え方だと結論づけました。
②小言を言っている/言われている頻度の認識の違いに関して
・妻が夫にどれくらいの頻度で小言を言うか
・夫が妻にどれくらいの頻度で小言を言うか
どちらもケースでも言われている側の立場の方が小言を言われる頻度を多く感じていることがわかりました。
上記の結果から、小言は言う側よりも受け身側の方が敏感に感じる、もしくは小言に対してのストレスが多いため、言われているという認識が増えるのかもしれません。
また、「小言」の明確な定義が難しく、言う側としては、「小言」のつもりで言っていないことまでも「小言」と捉えている可能性もあります。
③小言の正体
アンケートの結果から、小言は一方的な問題ではなく、夫婦間の理解不足や感情表現のひとつと考えられます。
小言を減らすための戦略
妻の小言に対する夫の感覚は、「攻撃されている」と「ストレスをぶつけられている」の二つに分けられます。
これらはネガティブな感情ですが、「攻撃されている」よりも「ストレスをぶつけられている」感覚をもつ夫は、妻のストレス発散場所としての役割を理解している可能性があります。
ここから学ぶ戦略は、妻は自身を攻撃される敵ではないこと、妻のストレス発散場所としての存在と認識することです。
夫はこの視点の転換が、小言の量を減らす手助けとなります。
また、アンケート結果から見ると、妻側は小言を言った際、夫は「ストレスをぶつけられている」よりも「攻撃されている」と認識されていると思っている数値が高かったです。
妻が思っているよりも夫側は 妻のストレス発散場所 と考えている方が多いことを理解した上で小言を言うことで、小言の内容も少しは柔らかくなるかもしれません。
本調査を通じて、小言の本質と対処法について新たな理解を得ました。
小言は、ストレス発散の手段であり、それを理解し対処することで夫婦関係が改善します。
この認識が皆様の人間関係の向上に寄与することを願っています。